鎖骨骨折日記~めざせ登山ザックを背負える日

初めての鎖骨骨折から登山用の重いリュックを背負って登山復帰するまでの記録

鎖骨骨折日記【5】保存療法と手術のどちらを選ぶべき?(鎖骨骨折3日目)

ベッドから起きられない地獄

起床。
昨夜はグダグダ考えながら寝てしまったが、やはり別の病院にも行ってみよう!と決意。

・本当に保存療法がベストなのか別の医師の意見も聞きたい
・昨日よくわからなかった治癒の過程についての説明が欲しい
・保存療法を選ぶとしても毎回3時間も待つのは勘弁

本来ならば昨日の整形外科にもう一度行って手術適用可能な病院に紹介してもらうか、レントゲン写真をもらって別の病院に行くのがいいのだろう。が、それだけでまた長時間待たされるかもと思うとうんざりだし、かといってこの状態で受付開始より1時間以上前に並びに行く気力もない。

少々自宅からは遠いが、最近婦人科検診や耳鼻科等でお世話になっている総合病院に行くことにした。

となると、とにかくベッドから降りなくては。

左肘をついてから、脆弱な筋肉を総動員して身を起こすと、背骨の右側が肉離れをおこしたのかぴきーんと痛い。
無理な体制で変なところに渾身の力をかけているからだろう。この瞬間だけをとらえると骨折部位よりも痛いかもしれない。。

信じがたい時間をかけてベッドから降りたら今度は着替えである。クラビクルバンドを外すと痛くてたまらないが、なんとか服装を整える。最後に昨日あみだした【ねじりこみの技】を駆使してバンドを締めなおし。
背筋ぴーんとなるだけで驚くほど痛みが楽に!
魔法のバンドである。

セカンドオピニオン

 魔法のバンドだけでは心もとないので、ふんわりと三角巾も装着して総合病院に向かった。到着して受付をすませると、まずは看護師による聞き取り。
「保存療法を勧められたが、かなりズレているように見えるため別の医師の意見も聞きたい、治癒過程について詳しく知りたい」ことを伝えた。

1時間弱待って医師と少し話した後、すぐにレントゲンとCT撮影。
患者数は多いのだけど、診察室もレントゲン室も複数あるし、レントゲンが混んでいたら先にCT検査に行かせてくれたりと回転は結構速い。

小さなクリニックと比べてはいけないけど、予約も取れるしやはり急いでいる身としては助かるなあ。今後通い続けながら仕事と両立しなきゃいけないし、多少家から遠くてもこちらのほうがストレスはたまらないしスケジュールもたてやすそう。保存療法を選んでも、こちらに通院しようと思う。

再び診察室に呼ばれるとレントゲンを見るなり担当医師が呟いた。
「これは、、手術適用でしょう。もし僕(が骨折当事者)なら絶対手術を選ぶね

 CTで全方向から状態を見るとズレが大きいことが一目瞭然。
…ちょっと【2001年宇宙の旅】を思い出したけど、あの骨は鎖骨じゃないよね。

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鎖骨骨折 手術療法と保存療法のメリット・デメリット

話を聞く前から手術に心が傾く私に、医師が今回の私の状態に対応する各療法のデメリットを説明してくれた。
そうそう、こういうのが聞きたかったの。

保存療法のデメリット

・ズレが大きいので変形が残る
・接合した後も鎖骨の長さが短くなるので、肩の幅が左右不均等になる(なんと!)
・クラビクルバンドが長期間必要
・痛みも手術よりは長期間あるかも
・接合しなかった場合結局手術になる


手術のデメリット

・傷口が残る
・全身麻酔が必要
・入院が必要
・費用
・手術しても接合しないときがまれにある。その際は体の別の場所(どこっ!?)  から骨を持ってきて移植する(ひえー)
・私に限ってであるが、、骨がかなり細いので(知らなかった)、ボルトが入るか微妙。でも入らない場合はワイヤーなど別の方法もある。

完治まではどちらでもそう変わりはないらしい。

鎖骨骨折治癒の過程

保存療法のデメリットを聞いただけで、心は手術にがっちりつかまれていたのだが、一応気になっていた治癒の過程について聞いてみた。
どちらの手段を選んでも、まずは骨の元みたいなものが現れてだんだんそれが骨に変化していきながら分断された骨をひとつに繋げていく。それがしっかり固くなって元通りの骨になるという感じだそう。第三骨片がある場合は、それを巻き込んで1本の骨になっていくらしい。
ということは、保存療法の場合は、元はすらっとアオダイショウだった骨がツチノコになってしまうということか。 

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鎖骨接合の過程(イメージ)


手術の場合はバラバラになった骨をパズルのように並べ、チタンプレートをあててボルトで止めるという手術というか工作的なお手当てである。
プレートは骨がくっついたら抜いてもいいし、抜かなくてもいい。
今決めなくていい。


「手術でお願いします。傷残ってもいいです」

翌日手術決定!たくさんの必要な検査をどんどんこなす

そこからも早かった。
医師「今日入院できる?どうせ手術するなら早いほうがいいと思うよ」
たまたま明日なら手術可能とのことで、そのためには今日入院しなければならない。明日を逃すと次は来週になってしまうというので即決。
すぐに必要な検査に回って、とのことで、採血、採尿、心電図、肺機能検査、、と各地をどんどん回り、戻ってくると手術のスケジュールが組まれていた。
人生初手術は明日の16時!

退院は医師曰く「20歳くらいだと、休んだ後その日のうちに退院する子もいるけどね、どうする?」
「無理です。もう1泊します」
「じゃあ翌日退院ね。がんばりましょう!」
「はいっ」
解散。

事務所に行って入院手続き。書類をいっぱい書く。
めんどくさいし、利き腕が動かしにくいのでとにかく文字を書くのが苦痛。
更に【入院承諾書】に家族のサインが必要と言われるが、急な入院のため夫は対応できないとぬかす。明日でいいから誰かに来てほしいと言われ、仕方なく明日朝、両親に来てもらうことになった。

入院生活に突入!

ここで既に16時を過ぎており、このまま入院してしまおうか!という誘惑が心をよぎる。急遽決まった入院のため個室しかあいておらず、なかなか快適そうな部屋なのだ。さっさと入室してのんびりしたいし、少しでも元をとりたい(正直)。
必要なものは【入院必要セット】としてレンタルできるみたいだし。
初めての手術決定になんだか気持ちは高揚していた(能天気)が、体は疲れているし。

が、一度自宅へ戻る。
戻らなくてはいけない。
なぜなら、私は「超」のつくド近眼だから。
いつもは「万が一のため」必ず眼鏡を持ち歩いているのだが、今日はとにかく荷物を軽くしたいあまり、眼鏡を持ってきていなかった。眼鏡かコンタクトレンズがないと明日から鏡に映る自分も誰だかわからなくなってしまう。

力を振り絞って帰宅すると昨夜Amazonでぽちっておいた前開きパジャマが届いていた。
ありがとうAmazon!ありがとう【玄関に置いておくよサービス】!

必要な荷物をまとめて病院へもどると、安いビジネスホテルより広くて快適な個室でシャワーを使った。さすがにとても使いやすくできているのでうんと時間をかけて左手だけでなんとか髪も洗った。
看護師が様子を見に来てくれたので、ねじりこみの技は使わずにクラビクルバンドを締めてもらった。姿勢ぴーんで楽になり、今日も爆睡。
人生初の入院初日が非常に快適に終わっていった。